祝福

リズと青い鳥」を見た。抑制的な演出で切実な人間関係の機微を描いた傑作で、全体に満ちる緊迫感は力によらない決闘と表現してもよさそうなほどだ。

演出上のクライマックスは、主人公ふたりが本当はどちらがリズでどちらが青い鳥なのかに気付くシーンと、それに続く第三楽章の演奏シーンにある。ふたりが自らの役割に気付く瞬間を画面を二分割して表現しているのは全体を通して唯一と言ってもいい抑制を外した演出だ。演奏を自分のものにできないでいる学生が音楽家のアドバイスで解釈を掴む、そして才能を解放した青い鳥は渾身の演奏を披露してみせる。

これだけであれば、つまり演出上のクライマックスとテーマ上のクライマックスが完全に一致していたのであれば、ずいぶんおさまりのよい作品に仕上がっていただろう。あるいは音楽は背後に設定された情景や感情を伝えるためにあるものだという音楽の目的についてのイデオロギーの臭みをまとってしまっていたかもしれない。だが本作をそれらとは違う美しいものにしている決定的な要因は、テーマ上のクライマックスは少しずらしたところに置かれている点にある。

希美がみぞれを吹奏楽部に誘ったときのことを回想するのは、音楽室で「リズと青い鳥」を一緒に読むシーン、みぞれの告白の後のシーンの二箇所あり、前者では「吹部」、後者では「吹奏楽部」と言っている。部外者の言い方をしている後者が実際あったことに近いのだろう。「よく覚えてないんだわ」と言っていたのは、思い出せないふりをしていたという解釈も可能ではあるだろうが、たぶん本当に忘れていて、みぞれの言葉によって思い出したのだろう。そこには自分がみぞれにとってどういう存在だったのかを客観的に見つめなおす端緒が現れている。親友との越えられない才能の差に折り合いをつけただけではない。

牛尾憲輔はビーカーをこすった音のピッチを変化させて重ねた和音によるアーメン終止を「祝福」に代えたという。

htt123.blog.jp

音作りの手法はエレクトロニカの文脈にあるが、あいまいな進行から最後にIの和音に落として祈りや祝福を表現するというのはどちらかというとクラシックの発想で、この作品によくそぐう。アーメン終止の名称の由来となった賛美歌はもちろん、学生コンクール制度を通じて吹奏楽の近隣文化となっている合唱音楽における「原爆小景」の「永遠のみどり」や「ティオの夜の旅」の「祝福」が作例として挙げられるだろう。このような「祝福」の強い普遍性を踏まえ、そして何より画面を見ていれば明らかなように、祝福は音楽家への道を踏み出したみぞれだけでなく、希美にも、またすべての生徒たちにも向けられている。

だから絵本の世界の中で飛び立った青い鳥は群れをなしているのだ。図書室を後にしてそれぞれの道を歩き始めたふたりの後ろには共に鳥が舞っているのだ。リズと青い鳥は役割が逆だっただけじゃなく誰もが青い鳥なんだ、 鳥籠たる学校は一時の庇護者であって誰もかれもそこから飛び立っていくんだ、そして希美には、君にもきっとできるよ(それは音楽の世界でではないかもしれないけれど)、という残酷で優しい祝福が贈られている。

下校シーンの「私も、オーボエ続ける」は直前の希美のセリフから繋がっているような繋がっていないようなあいまいな宣言だが、「(希美といるためでなくても)オーボエ続ける」と読むこともできるだろう。TVシリーズでも本作でも、みぞれの才能の開花は希美との問題が(自分の視点では)ひとつ片付いた後に起きている。プロの演奏家を目指すのならば、彼女はそれを自分の制御下に置かなければならない。ふたりのずれた関係は大きく変わってはいないけれども、互いの自立を前提にした、言ってみればより健全な関係への扉を開いた瞬間を見せてくれたのかもしれない。

本当のラストシーン、希美がみぞれに恐らくは幸せな何事かを言うそのセリフは観客には聞こえない。校舎に存在する物音の視座からふたりの関係を描くという方針から導かれる必然的な演出であるとともに、ふたりはもう大丈夫だという作り手の信頼が込められたものでもあるだろう。

2017年よく聞いた音楽

前回同様2017年リリースじゃないのも混じってます。

sora tob sakana - cocoon ep
ribbon

ribbon

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照井順政プロデュースのアイドルユニット。去年選んだamiinA同様の、音楽性を変な方向に振ったアイドル枠。マスフェスでライブも一度だけ見たけど曲のよさよりはこれは子供なのでは???という印象の方が勝ってますね……

 

Jaco Pastorius - Word of Mouth

今さらすぎますが本当によかったので。直接の目当ては3 Views of a Secretだったけど上に貼ったLiberty Cityがかっこよすぎてびびった。

 

島村卯月小日向美穂佐久間まゆ櫻井桃華双葉杏 - キラッ! 満開スマイル

 デレマス関連のリリースから一曲選ぶなら。ちょっと卑猥に読める歌詞もアイドルソングらしくてよい。

 

Serani Poji - ワンルームサバイバル
ワンルームサバイバル

ワンルームサバイバル

 

ササキトモコを知ろうの会。

 

サカナクション - さよならはエモーション/蓮の花
ミュージック(Cornelius Remix)

ミュージック(Cornelius Remix)

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これもなんで今聞いてるのか……ミュージック (Cornelius Remix)は理想のRemix仕事のひとつだと思うので原曲をご存知の方はぜひ。

 

ピアソラ五重奏団 - Live in Tokyo 1982
Live in Tokyo 1982

Live in Tokyo 1982

 

 これも今年とは全く関係ない。ピアソラの音源は大量にあって自分もどれを聞いていてどれを聞いていないのか全然覚えていないのだが、この先ピアソラから一枚どれか勧めるとなったらこれにすると思う。「AA印の悲しみ」の緊迫感は呼吸を忘れるほど。

 

Bill Evans - From Left to Right
Children's Play Song

Children's Play Song

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可憐で上品なメロディーの作り手というエヴァンスの一側面を抽出した一枚。

 

滝沢朋恵 - 私、粉になって
私、粉になって

私、粉になって

 

 朴訥という表現がよく似合う女性シンガーソングライター。自分の印象としてはピアノではなくアコギを主武器にしたタテタカコといった感じ。

 

Rautavaara - Autumn Gardens
Piano Concerto No. 3,

Piano Concerto No. 3, "Gift of Dreams": I. Tranquillo

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2016年に没した現代音楽の作曲家ラウタヴァーラの作品をいくつか掘っていた。このAutumn Gardensは主要作品には数えられていないと思われるが、通して聞くと終盤の展開の美しさに圧倒される。

 

nuito - Unutella

最近活動を再開したnuitoの今のところの唯一作。CDでも十分意味不明なのだがライブはさらになんで成立するのか分からない複雑さを誇り、それでいて常にチャーミングで、Tera Melosの一番いいときがずっと続いてるみたいな驚異のバンドです。ところで今気づいたんですがTera Melos来日公演あるんですね。

 

TrySail - adrenaline!!!
adrenaline!!!

adrenaline!!!

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 TrySailのライブひたすら楽しいので今度のツアー来てね。

 

衆道徳 - 公衆道徳 
地震波

地震波

  • 衆道
  • シンガーソングライター
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

韓国の謎のアーティストによる宅録サイケポップス。自分としては2017年に出会った音楽の中で最大の衝撃だった。ローファイな音ネタ使いの多彩さが印象的。

2016年よく聞いた音楽

なるべく最近のから選んでますが、2016 年リリース作に限っているわけではありません。あと上田麗奈さんのデビューミニアルバムとか絶対にいいって分かってるのにまだ聞けてない……

  •  Beirut - No No No
    Gibraltar

    Gibraltar

     アメリカのインディーポップバンド、Beirut の 4 年ぶりのアルバム。フロントマンの Zach Condon にはとにかくいろいろ大変なことがあったが復活した。郷愁を湛えつつも牧歌的な音色は健在。上に貼った Tr. 1 はバンドの特徴のひとつであるブラスセクションは入ってないけど絶妙なハンドクラップが泣ける。

  • amiinA - Avalon
    Avalon

    Avalon

     amiinA というのは二人組の女性アイドルユニットのはずなのだがそれに似つかわしくないひたすらスケールの大きい曲がずらりと並ぶ異色のアルバム。歌詞に大地、宇宙、神話といった単語が頻出する。トラックは自分がこのアルバムを知った記事では Jonsi - Go に例えられていて聞いてみるとなるほどと思ったのだが、二人の歌唱に合わせていい意味で俗っぽくチューンされているのも間違いのないところで、変だがとても質の高いアルバム。あと特殊装丁がかっこいいのでできれば CD で買ってほしい。

  • TrySail - whiz
    whiz

    whiz

    これまでの TrySail のシングル A 面曲のなかでいちばんしっくり来る。あとカップリングの Baby My Step もいい曲だし、ライブでコール (というか一部音程がついてるのでコーラス) を入れるのが本当に楽しい。あまり関係ないが最新の HoneyWorks プロデュース曲でキラキラ中高生ファンが増えていると思われるのでライブにキラキラ中高生枠作ってほしい。

  • Godovsky: Java Suite
    Java Suite, Pt. 3: IX. In the Streets of Old Batavia

    Java Suite, Pt. 3: IX. In the Streets of Old Batavia

    4 巻構成 12 曲からなるピアノ組曲。恥ずかしながらゴドフスキーという作曲家自体 2016 年に知ったのだが、これまで知らなかったのが不思議なくらいエキゾチックで華やかな魅力に溢れた組曲だった。iTunes 商品紹介には無かったのだが第 6 曲の The Bromo Volcano and the Sand Sea at Daybreak が特に派手でよい。シチェルバコフの演奏はうまいのは分かるがテンポを揺らしすぎで自分の好みには合わず、Esther Budiardjo の演奏が好き。
  • はなこ (CV: 花守ゆみり) - なるまるまーる
    なるまるまーる

    なるまるまーる

     本当にかわいい。

  • 前川みく (CV: 高森奈津美) - ニャンと☆スペクタクル

        本当にかわいい。

  • Paul Buchanan - Mid Air
    ミッド・エア

    ミッド・エア

    • Paul Buchanan
    • サウンドトラック
    The Blue Nile の Paul Buchanan のソロデビュー作 (アルバム自体が出てこないので上には表題曲が含まれる映画のサントラアルバムを貼った)。リリースは 2012 年だが素晴らしすぎてとにかくよく聞いていた。The Blue Nile の作風からさらに抑制を効かせた静謐な歌の数々。The Blue Nile では "Peace At Last" の "Family Life" が好きな自分にはご褒美みたいなアルバムだって Twitter で書いた気がする。
  • マヤ(CV. 水瀬いのり) & エリカ (CV. 伊波杏樹) - アニメを語レ!~アニメガタリ同好会のテーマ~
    Twilight Day's

    Twilight Day's

     懺悔すると Starry Wish まだ買ってません。夢のつぼみharmony ribbon はまだよく聞いてたのだが……。このシングルはアニメガタリという劇場上映ショートアニメのテーマソングとキャラソンを収録したもの。表題曲より 2, 3 曲目の方がよい。上に貼ったのは、作詞 清浦夏実、作曲 牛尾憲輔による 3 曲目。ソロ活動の路線よりもうちょっと角度のついた曲が聞きたいという向きにおすすめ。ちなみに 2 曲目は作詞 分島花音に作曲 カヨコとなっている。豪華。

  • 分島花音 - Love your enemies
    Love your enemies

    Love your enemies

     その分島花音による劇場版 selector destructed WIXOSS のテーマソング。見に行ったひとなら分かると思うけれど、完璧なテーマソングだった。この曲含め、劇場版 selector は最近すっかり一般化した「TV アニメの総集編+α」形式の映画の中で最も幸福なもののひとつではないかと思う。

  • GoGo Penguin - Man Made Object
    オール・レス

    オール・レス

    • ゴーゴー・ペンギン
    • ジャズ
    • ¥250

    名前にペンギンと入っているバンドは最高の法則。編成は普通のピアノトリオだが、いろんなジャンルから影響が入っていてなんだかよく分からない。Aphex Twin の影響も指摘されているようで、Tr. 6 の "Smarra" などを聞くと確かにという感じがする。

  •  クラウス・オガーマン参加作 (Claus Ogerman Orchestra - Gate of Dreams, Barbra Streisand - Classical Barbra, Bill Evans - Symbiosis など)

    カプリス

    カプリス

    • クラウス・オガーマン・オーケストラ
    • ジャズ
    • ¥250

     

    I Loved You

    I Loved You

     

    最近のリリースとかでは全然ないのだが、作・編曲家の Claus Ogerman が 2016 年 3 月に亡くなったのをきっかけにいろいろ聞いていた。特徴はひとことで言うと流麗なストリングスアレンジで、どの作品でも素晴らしい泣きのハーモニーを惜しみなく聞かせてくれる。"Gate of Dreams" では Michael Brecker、"Symbiosis" では Bill Evans という偉大なジャズプレイヤーとの共作になっている (最初に貼った "Caprice" のサックスソロの入り方はこんなにかっこいいものがあるのかというくらいかっこいい) が、曲はかなり強くクラシックの文法で書かれている。ジャズとクラシックの融合みたいなのをしつこく嫌う人はいて、まあ少し気持ちは分かるのだが、こういうのなら無限に聞いていたい。亡くなってしまったのは本当に残念。
  • TO-MAS feat. Chima - Flip Flap Flip Flap
    OVER THE RAINBOW (feat. パピカ(cv.M・A・O) & ココナ(cv.高橋未奈美))

    OVER THE RAINBOW (feat. パピカ(cv.M・A・O) & ココナ(cv.高橋未奈美))

    フリップフラッパーズよかった……曲もよかった。ここでは劇伴を担当した音楽ユニットである TO-MAS の松井洋平、ミトによる、ED のカップリング曲を。フリップフラッパーズの魅力だった世界の広がりの感触を下支えしてくれた名曲。「ふたりでなら どこまでだっていける」なんですよ……

TrySailがカバーした曲の一覧

TrySailが過去のイベントで披露したカバー曲のタイトル・アーティスト・レーベルをまとめました。イベントにはTrySail結成前のトラハモのイベントを含みます。本人歌唱のキャラソンは入ってますが雨宮天の本人名義曲は除外。現在公式がやってるカバー曲希望アンケートの参考にどうぞ。

trysail.jp

項目の抜けはもちろん、レーベル名の記載の基準が適当ですので明らかにおかしいだろっていうのは適宜突っ込んでください。

 

- 麻倉もも
久住小春(アップフロントワークス) - 恋☆カナ
松田聖子(サンミュージックプロダクション) - 夏の扉
橋本潮(日本コロムビア) - ロマンティックあげるよ
HoneyWorks(インクストゥエンター) - 今好きになる。 feat.瀬戸口 雛
五條真由美(マーベラス) - DANZEN!ふたりはプリキュア」(Ver. Max Heart)
前川陽子 - キューティーハニー
中島愛(FlyingDog) - 星間飛行
SCANDAL(エピックレコードジャパン) - 瞬間センチメンタル
斉藤彩夏 - この町いつも~貧ちゃんのうた~

- 雨宮天
相川七瀬(エイベックス) - 夢見る少女じゃいられない
石川さゆり(日本コロムビア)- 津軽海峡冬景色
中川翔子(Sony Records) - 空色デイズ
奥華子(ポニーキャニオン) - ガーネット

- 夏川椎菜
aiko(ポニーキャニオン) - ボーイフレンド
ならゆりあ(キャロット) - GO-GO たまごっち!
いきものがかり(エピックレコードジャパン) - 気まぐれロマンティック
fhána(Lantis) - 星屑のインターリュード
ロケット団 - 前向きロケット団!(ピカチュウレコード)
ストロベリー・フラワー - 愛のうた(東芝EMI)
植田佳奈 - ピカピカの太陽(アニプレックス)
古宮乃々香(夏川椎菜) - 流星のなみだ
JUDY AND MARY(エピックレコードジャパン) - そばかす

- 麻倉もも夏川椎菜
KMM団(Lantis) - ウィッチ☆アクティビティ

 - 全員

カントリー・ロード
サンタが街にやってくる
MAHO堂(バンダイ・ミュージックエンタテインメント) - おジャ魔女カーニバル!!
宇野ゆう子(ユニバーサルミュージック) - サザエさん
森川美穂(東芝EMI) - ブルーウォーター
きただにひろし(Lantis) - ウィーアー!
H2O(ユニバーサルミュージック) - 想い出がいっぱい
国生さゆり(CBSソニー) - バレンタイン・キッス
Perfume(徳間ジャパンコミュニケーションズ) - チョコレイト・ディスコ

アルドノア・ゼロ EXTRA DAY 朗読劇はこんな話でした

基本、side.A (大原さんがいた方)準拠。

2015/6/23 訂正。伊奈帆は軍人のままらしいのでサイバネティクス研究室は軍の機関っぽいですね。

雨の中、カームが車で伊奈帆を送っている。現在伊奈帆はサイバネティクス研究室に所属、カームは大学に進学しているが、今日はサボってドライブに来ているようだ。目的地に着き、伊奈帆は礼を言って車を降りる。雨はまだやまない。

伊奈帆が来たのはスレインのいる牢獄だった。伊奈帆はスレインをチェスに誘うがにべもなく断られ、続けて自分がずぶぬれになっているのに雨なのかとも聞かないのかと問うが、そうした気遣いは月に置いてきた、いや今ここにいる自分が本当の自分なのかもしれないと返される。まるで哲学だな、やってみるといい、暇つぶしになるとおそらく本気でアドバイスする伊奈帆に、馬鹿にしてるのか、そもそも君は馬鹿だ、といつものやりとりをしたあと、スレインは沈み込み、放っておいてくれ、姫に頼まれて来ているならどうか忘れてくださいと伝えてくれと頼むが、拒まれる。伊奈帆は姫に頼まれたわけではなかった。それどころか、本編中メカイナホモードで会話して以来彼はアセイラムとは一度も会っておらず、彼女は和平のために世界中を飛び回っているという動向をニュースで知るのみだったのだ。伊奈帆はそんなアセイラムを鳥に例え、また来ると言い残して去る。

恐らくスレインの夢なのであろう、レムリナと過ごしていた頃の回想。地球から例の庭に鳥を取り寄せる相談。レムリナはマリルシャンに籠の鳥という言葉を教えられたこと、彼の実直さと裏表の浅はかさを回顧する。どこにも行けない籠の鳥と自虐しつつ、自分は望んでどこにも行かないのだと告げる(side.Zではこのあとスレインがハークライトに鳥の手配を命じる場面。繁殖は難しいでしょうと言われるが、スレインは死ねばまた持ってくればいいと返し、レムリナは自身を籠の鳥に例えていたが、籠の外には鳥を狙う獣が大勢おり、自分もそうした獣の一匹だと自虐する。ハークライトはスレインを誇り高い獣と呼び、改めて忠誠を表明する)。

宣言通りまた牢屋に来た伊奈帆。スレインは今度は今日も雨なのかと問う軟化を見せるが、哲学はやっていないのか、やらない、今度本を何冊か持ってくる、いらない、と再び険悪になる。この時、二人は互いをフルネームで呼び、コウモリ、オレンジ色とは呼び合わないこと……互いの関係のある部分の清算を確認する。食事をあまりとっていないようだが体を壊すからちゃんと食べろ、体を動かさないから腹が減らない、なら動かせ、命令を聞く筋合いはない、なら頭を使え哲学とか、哲学はやらないという応酬ののち、ならクイズだ、鳥はなぜ飛ぶのか?と残して伊奈帆は退出する。

回想。スレインに基地から出るよう促され、それを拒絶しようとするレムリナ。あなたを守るためですと説得されるが、私は行きません、守られたいのではなくあなたを守りたいのですという叫び。

再び牢屋に来た伊奈帆。濡れているな、ここの所ずっとだという会話。スレインの顔色を気遣ったのち、日本には四季があるそうだなという問いに、正確には六季で今は梅雨だと答える伊奈帆。アセイラムからの鳥は雨が降っても飛べるのかという質問を思い出すスレイン。なんと答えたか詳しくは覚えていないが濡れたとしても乾かせばまた飛べるのだろうとか答えたのだろうと言うと、伊奈帆は鳥の羽が雨を弾くメカニズムを解説し、クイズの答えを問う。スレインの答えは、外敵から身を守る、餌を取る、そして見渡すため。見渡す?と伊奈帆が聞き返すと、スレインは高く飛ぼうとして羽を休める枝をも超えて疲れ果て、あとは落ちるだけだった、所詮自分はコウモリで、誇り高い獣でもウミネコでもないと後悔を語る。それでも生きている、どうして生かしたんだ、さあな、探せば見つかるのか、見つからない。それでも探すんだろう、気が遠くなるな。だがいい暇つぶしになる、といった会話。多少気が軽くなったらしいスレイン、チェスの手を指しはじめる。互いに何手か指したところで、君の会話は抽象的で分かりにくいと文句をつける伊奈帆と、ぼくは普通だ、そっちこそ面白みがないと反論するスレイン。会話は事実を的確に伝えてこそだ、姫さまともそうやって会話してたのか、そうだ、お前とは分かり合えないな、お互い様だろう。

休暇中のユキ姉が寝るのに飽きて迎えに来る。海に行きたいという伊奈帆。昔鳥を見に行ったのだが見られなかったのだった。覚えてたのねと感動するユキ姉にそりゃ覚えてるよと伊奈帆(side.Zでは迎えに来るのはカーム。腹が減ったので韻子の家の食堂に行く話。カツカレーをカームに勧めておきながらそれにすると言われるとじゃあ自分はカツ丼にするとふざける伊奈帆)。

「女王陛下」となった地球のアセイラムから月のエデルリッゾへの通信。地球から送られた鉢植えが根付いた、母親から花嫁修業を迫られているといったエデルリッゾの報告と、エデルリッゾなら花嫁修業なんてしなくてもすぐにお嫁に行けますよと返し、雨の日本を想い、この季節特有の紫陽花という花の映像を送る約束をするアセイラム。雨の季節、鳥は羽を休めているのでしょうね。それでもまた、きっと……

海に鳥を見に来たユキ姉と伊奈帆の二人。ずいぶん低く飛ぶのね、雨に濡れたからかしら。でもまた飛べるんだ。

 

『雨の断章 -penultimate truth-』

空を飛ぶ生き物、スレインの言っていたとおり、と感動する本編中のアセイラムの映像で締め。

悠木碧『イシュメル』 収録曲の拍子一覧

近年最高の声優アルバムのひとつ『イシュメル』ですが、bermei.inazawa 氏作編曲のトラックを中心にかなり複雑なリズムをとるものが多いです。もちろんコールなど入れるのは大変困難で、4月のライブは客席のオタクが稀に見る静けさのイベントになると予想されそういう意味でも大変楽しみなわけですが、一方自分がリズムを取れないままなのは悔しいので、ぜんぶ数えました、という記事です。

 

見方
  • m拍子と書いてあったら4分音符で、数字だけ書いてあったら8分音符で数えてください。
  • *2 なら2回、*n なら空気を読んで適当な回数繰り返してください。

 

01. SWEEET HOME

ずっと3拍子

 

02. アールデコラージュ ラミラージュ

一見むちゃくちゃですが10拍を3, 2, 3, 2で数えるのと3, 3, 2, 2で数えるのが

交互に出てくるだけなので見た目ほど複雑ではありません。

(0:00 (前奏))             3拍子*n→
(0:13 (謎の電子音))       拍子決めづらいので適当に数える→
(0:16 (歌い出し))         3+2+3+2→3+3+2+2→3+2+3+2→3+2→2+2+2→
(0:27 Bizarreな)          3*n→
(1:08 アールデコラージュ) {3+2+3+2→3+3+2+2→3+2+3+2→3+2→2+2+2→}*2
(1:30 (間奏))             3+3+2+2→3+2+3+2→3+3+2+2→3*4→
(1:42 Ya-Pa-Pa)           {3+3+2+2}*3→3*4→3+2→
(1:54 (時計の音))         3*n→
(2:42 アールデコラージュ) {3+2+3+2→3+3+2+2→3+2+3+2→3+2→2+2+2→}*2
(3:03 (間奏))             3+3+2+2→3+2+3+2→3+3+2+2→3*4→
(3:15 Ya-Pa-Pa)           {{3+3+2+2}*3→3+2+3+2→}*2
(3:37 Ya-Pa-Pa)           {3+3+2+2→3+2+3+2→}*2
(3:47 アールデコラージュ) {3+2+3+2→3+3+2+2→3+2+3+2→3+2→2+2+2→}*2
(4:09 (後奏))             3+3+2+2→3+2+3+2→3+3+2+2→3+2→2+2+2→
(4:20 (後奏つづき))       3+3+2+2→3+2+3+2→3+3+2+2→3+2+3+2→2+2+…

 

03. ビジュメニア

サビ入りの変拍子が大変かっこいいですね。1:28のHa~みたいなコーラスが半拍ずらしで入る所でついていけると気分がいいです。

(0:00 (前奏))                          2拍子*4→
(0:03 星に願いかける)                  2拍子*6→
(0:08 世界征服をプリーズ)              3拍子*n→  // 2拍子と3拍子の境目は曖昧
(0:42 光曇らすから 白猫)               3拍子*3→2拍子*2→
(0:47 が あくびをしても~ちょうだ)     3拍子*n→
(1:22 い)                              3拍子*2→2拍子*4→3拍子*1→
(1:28 (8分休符))                       1+2+2→2+2+1→2拍子*11→
(1:38 (コーラスが消えるとこ))          3拍子*n→
(2:04 パンドラにシンパシー ユニコーン) 3拍子*3→2拍子*2→
(2:09 に 乗り遅れても~コラー)         3拍子*n→
(2:44 ジュ~ちょうだ)                  3拍子*3→2拍子*2→3拍子*n→
(3:57 い)                              3拍子*2→2拍子*4→3拍子*1

04. twinkAtrick
(0:00 (前奏))                  3拍子*n→
(0:28 (歌い出し)~顔をく)      6*n→
(1:11 すぐる~本当だよう)      3拍子*n→
(1:40 そ~誰のお)              6*n→
(2:39 うちだ?~本当だよう)     3拍子*n→
(3:09 そ)                      {3+2+3+3}*6→6*4→
(3:34 Fallen Down~本当だよう) 3拍子*n→
(4:30 そ)                      6*n    

 

05. たゆたうかなた
(0:00 (前奏)~はじまるよ) 4拍子*n→
(2:09 サヨナラ)           4拍子*1→2拍子*1→
(2:13 うたかた)           4拍子*n

 

06. 迷宮舞踏会
(0:00 (前奏)~迷宮舞踏会がは) 3拍子*n→
(0:50 じまるよ)               3→4*n→
(1:10 ちいさなモンスター~ロ) {3+4→3+3→}*2
(1:18 マネスコみたいに~子)   2+2+3→4*n→
(1:43 猫の声)                 3拍子*n→3→
(1:58 Yeah!)                  4*n→
(2:17 (間奏))                 3拍子*n→
(2:47 Yeah!)                  4*n

 

07. ロッキングチェアー揺れて

ずっと4拍子


08. ソラミミPiZZiCATO

前奏のハンドクラップが揃うとかっこよさそうですが無理だと思います。

(0:00 (前奏))             3+2+2→4*2→3+2+2→4*3→
(0:09 One, Two,)          6*n→3→
(1:42 「ねぇねぇ」)       6*n→5→
(3:13 (前奏と同じピアノ)) 3+2+2→4*2→6*4→
(3:24 モノ)               2→
(3:24 オトはPiZZiCATO)    6*n

 

09. ダスティー!ダスティーストマック

ずっと3拍子


10. クピドゥレビュー

ずっと4拍子


11. Angelique Sky

ずっと3拍子

最近の百合まんが(青天の碧眼など)

百合まんがというくくり自体に思うところはあるもののとりあえず便利なのでこのまま行きます。日付をチェックしていて驚いたのですが百合アンソロジーつぼみが休刊したのは2012年12月で、もう1年近くが経とうとしているのですね、全然最近じゃなかった……。ともかくこの休刊の際には一花ハナ、はみ、小川麻衣子、須河篤志、あらた伊里、百合原明といった新進気鋭の作家陣の連載が中断を余儀なくされ、つぼみWebコミック(サイト消滅済み)等で次の単行本を出せるだけのページを使って一応の完結を見ました(「魚の見る夢」は例外で単行本書き下ろしでそのうち出るという話だった、はず)。

新進気鋭とは取ってつけたような褒め言葉ですが、実際にどの連載も文句なしに面白かったし、これからさらに面白くなるであろうというところでの衝撃的な事件でした。当時の競合誌、例えば百合姫などに比べて誌面の平均的なクオリティはかなり上だったと思うのですがまあ単純には行きませんね。これらが駆け足で完結させられなければならなかったことは百合まんが界に限定せずとも大きな損失だと思いますし、今でも残念です。あとで見るように完結までが単行本の形で残るだけ幸せだったのかもしれませんが。

ちなみに新進気鋭の基準は適当です。上で挙げた作家陣の中でもずば抜けて才気走っていた小川麻衣子は漫画賞を2005年に取っているほか2009年9月から2011年3月までゲッサンで「とある飛空士への追憶」の連載を持っており、魚の見る夢の連載初回はその直後に発売のつぼみ vol.11です。ただとある飛空士への追憶やゲッサンでの読み切りに百合色は見られず、東方同人でよく一緒に活動していたあらた伊里(つぼみ vol.13で「総合タワーリシチ」連載開始)とセットでつぼみに登場したイメージがなんとなくあるのでリストしておきました。この2人の単行本の巻末ではお互いへの謝辞を見ることができます。

他、はみ、須河篤志、百合原明の各氏は他誌での連載や同人活動で継続して名前を見ることができるのですが心配なのが一花ハナで、「神さまばかり恋をする」の2巻発売以降ブログにもTwitterにも投稿がありません。絵めっちゃ上手いのにこれからどこでも作品が見られないとすると本当にもったいない話です。別名で活動してるといった情報をお持ちの方は教えてください。

さて先ほども話題にした東方を中心とした百合同人のバックグラウンドを持つまんが家という流れを汲む当節最注目の作家が滝島朝香で、ようやく記事タイトルに挙げた「青天の碧眼」の話が始まります。当作の連載はまんがライフWINで2012年10月から2013年10月まで。終わってんじゃん!はい、単行本1巻の売り上げ不振が理由でepisode.11にて連載終了ということになったそうです。単行本1巻の収録はepisode.8までで、残りのepisode.9から11はepisode.1から5と合わせてまんがライフWINに掲載されています。つまりほとんどがWebで読めて恐らく単行本2巻はないです(11/23追記:ご本人のサイトにそのへんの話が載りました)。episode.9以降の公開が終わるかまんがライフWIN自体が消滅する前に今すぐ読んでくるとよいでしょう。

青天の碧眼 / 滝島朝香 / まんがライフWIN

それもめんどいという人のため軽く内容を紹介すると、夢をなかばで断たれた半グレ女子中学生(夏樹)が、罪人として地球に落とされ人間の姿を借りて暮らす万能で飄々としているが常識の抜けた宇宙人(葵)の世話をいろいろ焼くという話で、葵の罪とは何なのか、夏樹は失った夢を何らかの形で取り戻すことができるのか、幼なじみの陽香との関係は、といった諸々が作品全体を引っ張るテーマです。絵は明らかに水準以上、葵に名前を付けるくだりなど細かなエピソードにも秀で、要するに超面白いのですが、もう続きはありません。

ストーリーは一区切りついたといえばついているのですが、他のまんがライフWIN掲載作品のように、ギャグ作品のため短期で魅力が伝わりやすいとかコミカライズのため知名度があるわけでもない作品をあっという間に終わらせるのはどうなんだろとちょっと思います。まあマンガ界はもともと修羅の国だろとか、応援するならもっと前に始めろよとか言われれば返す言葉もないのですが、早期で終わってしまったからといって優れた作品が少しでも多くの人に読まれる意義が減じるものでもないと思うのでこうしてご紹介したのでした。次作があるといいなあ。